starposの日記

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「習慣を変えると頭が良くなる―東大生が教える7つの学習習慣―」

習慣を変えると頭が良くなる―東大生が教える7つの学習習慣―

習慣を変えると頭が良くなる―東大生が教える7つの学習習慣―

コツコツ努力すること,という言葉は良く聞くけれども,それを頭では分かっていても実際に実行できていると感じている人は少ないと思う.努力というものが大層ご立派なもので,それは苦労に苦労を重ねることとほぼ同義で,まるで努力する才能でもなければそれは到底できるものではなく,自分からは到底離れた世界の話だ,というイメージを強く感じている人も多いのではないだろうか.私もその一人だった.

本書は学生が書いた本とは思えないほど理路整然とし,分かりやすく,我々に一つのメッセージを訴えかけてくる.この本を要約すると,「努力とは,毎日をほんの少しずつ変えていくだけの簡単な作業である.」と言える.7つの習慣とは,それを継続的に行うためにまず習得すべきスキルであり,もちろんそれらも毎日をほんの少しずつ変えていくだけで無理なくできるようになると説かれている.

本書は著者の体験記でもある.著者はそれを中学生のころから意識し,試行錯誤しながら実行し,東大に入り,在学中に教育コーチングの会社を興し,この本に書かれていることを教え子達が実践できるように指導し,劇的な成果を上げつつある.それは良い成績を取るという意味だけではなく,勉強だけできても幸せをつかむことが簡単ではないこの世の中で,たくましく生きていくための最低限の能力を身に付けさせるという意味もある.この世知辛く厳しい競争社会において本当に意味のある教育とは何か,を問いつづけた著者の結論である.だから説得力があるし,なにより,誰が書いたかに関係なく,読めばすぐにでも実践したくなるはずだ.努力することは何かを得るための王道であることは誰もが認めるところで,それが簡単に無理なく実践できるのだから.この本を読めばコツコツ努力することとは具体的に何をすれば良いことなのかがとても良く分かる.中高生向けとはいえ,これを読めば人生が変わる大人がいかに多いかと思うほどよく書けている本である.

ひとつだけこの本に問題があるとすれば,前書きで著者が自身の成功体験を全面に押し出しすぎていることで,嫌悪感を覚える読者がいるかも知れない.私も少し鼻についた.そのような場合は,本文の1章から読んで,最後に前書きを読むと,著者はなるべくしてこうなったことに納得がいくし,それは決して遠い世界の話ではないことが理解できるだろう.

私に子供ができたらいつか必ずこの本を読ませるし,私自身がコツコツ努力できる人間になりたいと強く思い,それは意外に簡単で,すでに効果を実感しつつある.コツコツ努力することは簡単なことであり,なりたい自分になるための一番の近道である.